第25回 NY MBAの会 講演内容レポート

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【第25回NY MBA会 講演レポート】
2月23日(木)、第25回NY MBAの会を開催いたしました。
今回は『グローバル企業のIR戦略』をテーマに、日系大手総合電機企業にてIR(Investor Relations)活動を担当されているマネージャー永本多美恵さんをお招きし、IR活動の定義、概要から、株価形成に大きな影響力を持つといわれる機関投資家とのコミュニケーションの実務、ワールドツアー、コーポレートガバナンスなど、日系グローバル企業におけるIR戦略について基本から応用、実務における悩みまで幅広くお話しいただきました(参加者19名、うちMBAホルダー3名、在校生2名)。
企業のIR活動とは、企業と資本市場の橋渡し役であり、公正で公平な市場づくりを目指して、株主や投資家に対して自発的に企業情報を開示することで適正な評価を受けることです。また、投資家の視点を経営に反映することも大きな役割の一つです。
そんな企業のIR活動を遂行する担当者の主要業務は、セルサイド(証券会社)のアナリストと機関投資家をはじめとするバイサイドのアナリスト・ファンドマネージャーに企業の経営に関わる情報を適時開示することになります。ここで典型的な日系の大手製造業が抱える問題点としては、事業ポートフォリオが複雑化して主力事業が見えにくく、短期的に効率の良い投資を志向するタイプの米国投資家に敬遠される傾向があることで、基本方針としてもう少しロングタームで保有する年金基金等を主なターゲットにされています。


また、日本の投資家が企業のブランド(規模感)やポートフォリオ全体の安定性に着目、穏やかな成長を認める向きがあるのに対し、外国人投資家は事業セグメントごとの収益性、将来性および成長戦略に注目してリストラを含む大胆な構造改革を提案してくるという違いがあります。そのような厳しい外国人投資家を振り向かせるグローバル企業となるために、永本さんの所属する会社では各事業のトップが責任をもってBS、PLを管理するカンパニー制を導入し、各ビジネスユニット長を資本市場の矢面に立たせ、自分が管轄する事業を客観的に分析する機会を設けているのは興味深かったです。
また、外国人投資家が重要視する項目のひとつであるコーポレートガバナンスの分野では、取締役会に半数以上の社外取締役を起用、中でも巨大米国企業の元CEOである役員は実際の取締役会にて各事業部の状況を説明する執行役員に辛らつな駄目だしをしているということで、よそ者を嫌う傾向にある日本企業の中では極めて先進的な取り組みをなされているのではないかと思いました。


参加者からは、日本のコングロマリットが各事業体の事業価値の合算よりも企業全体の株価が下落するコングロマリットディスカウントに陥る原因の一つとして、事業の短期的な収益性のみならず長期的な将来像、成長戦略のプレゼンテーションが乏しいことがあるのではないかという指摘も出ました。コングロマリットであることの優位性(コングロマリットプレミアム)を投資家に対して理解させるべく、事業を遂行している当社こそが臨機応変にポートフォリオを組み直すことに長けていることを断言することから始める必要がある等、日本企業の特性をグローバル市場で高く評価してもらうための建設的なディスカッションは尽きることがありませんでした。


次回のMBAの会は、3月23日(木)午後7時から、いつものGラボにて『一世を風靡した日本ブランドの新たなチャレンジ』をテーマに、日系大手電機メーカーで北米地区のセールスプランナーとしてグローバルサプライチェーンマネジメントを担当されている黒岩克哉さんにお話しいただきます。皆さまのご参加をお待ちしております!