第26回 NY MBAの会 講演内容レポート

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【第26回NYMBAの会開催レポート】
3月23日(木)に第26回NYMBAの会を開催致しました。

今回は『一世を風靡した日本ブランドの新たなチャレンジ』をテーマに、日系大手メーカーにて北米地域のセールスプランニングを中心にグローバルサプライチェーンマネジメントを担当されている黒岩克哉さんをお招きし、某時計ブランドをどのように北米マーケットに浸透させ一定のシェアを獲得したのか、また踊り場に直面している現状や当面の課題についてお話し頂きました。

時計業界は商品1個当たりの単価が$9から$1,000,000までと幅広く、低価格帯の商品が売上個数では全体の4分の3以上を占めるものの、時計全体の売上高は半分以上が高価格帯の商品で構成されているという特徴があります。またUSの販売チャネルとしては、プレミアと呼ばれるMacy’sなどの大手デパート・高級宝石店、ミッドティアと呼ばれるJCpenny・Sears、マスと呼ばれるWalmart・Target等があります。

これまでこのブランドは低価格帯でマス向けに多くの商品を売る戦略を取ってきたのですが、ここ10年でブランド力を上げ、低価格帯のマーケットはそのまま維持しながら高価格帯の商品を作りプレミアチャネルにも売る戦略に変えてきました。 結果、売り上げが10年で2倍以上にあがり2015年には同商品史上1番の売上高をたたき出しました。

その成功の要因は、有名タレントに着用してもらう、雑誌のトークコーナーで商品を勧めてもらうなどのマーケティング活動が功を奏したこと。また、ベルトの長さなどUS規格にあった商品づくりを進めることができたことの他、中でも興味深かったのは店頭に立つストアスタッフのモチベーションを上げることに成功したというもの。

ストア店員は、自分が販売した商品の合計金額に対するコミッションで給与を得ている為、できれば高い時計を売ってコミッションを多くもらうことに注力しがちです。この時計ブランドはその高価格帯の商品に真っ向から勝負をするのではなく、高価格帯商品を買う顧客のファミリー層・今後昇格していって高価格帯の時計を買う層に成長しそうな人たち等、ストア店員にとっての新しい顧客層を生み出すことにフォーカスをし、このブランドの商品販売をモチベートすることに成功しました。

ところが、ここ1、2年は中国経済の下落もあり、時計業界全体が落ち込んできているといる現状がある中、このブランドも多くの課題に直面し、新しい施策を迫られています。
これまでにアプローチしきれていない女性・ミレニアム世代などのターゲットにどのようにアプローチしていくべきか。小売店の売上が縮小しAmazonなどのオンラインショッピングに移行している中で、どう価格勝負に対応していくか。Like数が直接売り上げに結びつかない中、SNSにどこまで力を入れ、プロダクトラインとSNSのターゲットをどう合致させていくか。等。
こうした多くの課題点に対して、インフルエンサーを起用した広告を始めたり、オンラインでディスカウントで売られないようにMAPポリシーを設けるようにするなど、これまでの成功体験に捉われそうになりながらも、少しずつ改善に動き出している現状のとのことです。

参加者の方にもなじみ深い商品だっただけに、講演中も積極的な質問や意見が飛び交い、また黒岩さんに持参いただいた高級時計を実際に手に取り感動の声があがるなど、有意義な会となりました。
次回は4月27日(木)午後7時より『ロボティクス家具の米国展開戦略を練る(仮題)』をテーマに株式会社I&Cの代表取締役CEO佐田幸夫さんをお招きし、当会メンバー西原哲夫氏と齋藤晃氏のリードの元に同社の米国展開戦略を皆さんと議論する企画となっています。
是非ご参加ください。

※写真はTriangle NY 植山さんに撮影頂きました。ありがとうございました。